81 無名さん
〈しもやけたん〉
「えっと、ご無沙汰しております。大神絵都です……。あの、私の指名、間違いじゃないですよね……?」
「指名は2名まで入れられる。間違いではない」
「そ、そうですか……」

〈ラレ元〉
「ッ!!!!ちょ、ちょっと轟くん!?なんか面白がってない!?面白がってるよねぇ!!!ってか轟くんがエンデヴァー事務所に指名されてるってことはあれ!?ちょっと待って私もしかして間違ってた…!?」
「間違いではない」
「「!」」
◯◯がパタパタと顔を扇ぎながら言った瞬間、バタンと目の前のドアが開いた。
「指名は2人まで可能だ」
「エンデヴァー!!!…さん!!!」

〈しもやけたん〉
瞬間、スカートのポケットに入っている携帯が通知音を鳴らして震え出す。どうやら隣の焦凍くんの携帯も鳴ったようだ。
焦凍くんは立ち止まり、通知の内容を確認する。

「──緑谷」
「えっ、緑谷くん?」

〈ラレ元〉
瞬間、ブルルと胸ポケットに入れていた携帯が震えた。
同時に轟のも鳴ったようだ。
轟は躊躇なく携帯を取り出して見ている。
「…緑谷」
「えっ」

〈しもやけたん〉
「──情報通りのナリだな。こいつらは殺させねえぞ、ヒーロー殺し」
「…………」

ステインはじっと轟達を見て黙りこんだ。双方の間で音が止み、沈黙がおりた。その瞬間。

「はっ!!」

ステインの意識が轟に集中している間、絵都は“霧隠”を利用し、気配を殺しながら素早くステイン真後ろに回り込んでいた。

〈ラレ元〉
「じきにプロも現着する…こいつらは殺させねぇぞ、ヒーロー殺し」
「…」
轟の言葉に、ステインは何かを考えるようにじっと黙りこんだ。

「(今!!!)」

その瞬間。
ステインの意識が轟に集中した隙に、真後ろにあらわれたのは、◯◯。

ここらへんか