もう随分前の話しになります。

横浜に住んでいた従兄弟がさ、実家(茨城県)の近くに、中古の住宅を買ったんだよね。
従兄弟は自営業をしててさ、俺は横浜に住んでた頃から手伝いに行ってたんだ。

茨城に引越しても、仕事の手伝いには行ってたんだ。
もちろん俺の家は千葉だから、泊まりなんだけどね。

そしたら、その家にはシングルベッドとロッキングチェアが何の理由か? 置いてあったんだ。
従兄弟は邪魔になるから、棄ててしまうと言うので、何の考えもなく貰って来た。

暫くして、そのベッドで寝ていたら、誰かに凄い力で引っ張られ、寝ていた向きとは逆にされた感じで目が醒めた。
普通に寝ていた、少しホッとした。

それはすぐに恐怖に変わった。
例のベッドの足元にある、ロッキングチェアの辺りに何かの気配が感じるからだ。

断わっておくが、俺には霊感など全然ない。と思う。
暗闇の中眼を凝らしても、何も見えない。

と、そのうちに、足元から重くなって来た。
俺の体の上を、え体の知れないモノが上がってくる。

体は金縛りで動かない。もちろん声も出ない。
胸の上でずしっと止まり、首を絞められているのか、苦しい。

以前金縛りにあった時は、ナムアミダブツ、と唱えたらスウッと楽になったので、同じ様に念仏を唱えてみた。ダメだった。
金縛りにあっている時って、時間が長く感じる。

しまいには、腹立って来たので、しつこいんだよコノヤローって口で言いながら、両手に力を入れて振り払ったら、スッと楽になった。
安心したのか、そのまま寝てしまった。


その後、従兄弟に会った時に、金縛りの話しをした。
意外に驚いてはいなかった。従兄弟は言った。

まだ横浜に住んでいた頃、実家に用事があったので買った家の写真を撮って帰った。
暫くして、写真が出来てびっくりしたそうな。

二階家全体を写した写真には、ベッドとロッキングチェアの置いてあった、二階の部屋の誰もいないはずの窓に、横向きの女の人の顔が写っていたらしい。

残念? ながら、従兄弟は写真をなくなってしまったと言って、俺には見せてくれなかった。

その後、ベッドもロッキングチェアも処分した。