93 無名さん
>>89
>あの黄色い魚が、水槽のすぐ横の床でのたうちまわっていた。自ら飛び出したのだろうか、尾をびちびちと叩きつけて、苦しげにもがいている。
仁王がこちらの様子に気づいた。くわえていた煙草を灰皿に押し付け、ソファから立ち上がり目を細めながら近づいてくる。遠目からだと魚が落ちているのだとはわからなかったんだろう。焦っている私とは裏腹に仁王はひどく落ち着いていた。非常にゆったりとした動きで水槽のそばにしゃがみこむと、あの小さな黄色い魚を軽く手で摘まみ上げ、臆することなくゴミ袋の中へとそれを放った。黄色い魚が、するりとゴミ袋の奥に消えていく。
「え、なに、してるの」

私も訊きたい