96 無名さん
みんなが丘上さんを見つめる中で、謙也くんだけがちゃんと私を見てくれている。みんなが丘上さんを優先させる中で、謙也くんだけが私を優先している。それがすごく嬉しかった。でも嬉しさとはまた違う感情が沸き上がる。

「(どうしよう…どうしよう)」

ぎゅと胸元をつかむ。

「(謙也くんを丘上さんにとられたくない)」

謙也くんに丘上さんを好きになってほしくない。だって謙也くんも丘上さんを好きになったら、誰も私を認めてくれなくなる。そんなの耐えられなかった。

「(もう…丘上さんの恋を応援できない)」

これは恋じゃない。私はまだ白石くんに恋をしてる。だからきっとこれは。

「(独占欲…)」

私は自分を認めてくれる人を失うのが嫌なだけだ。


>>90からのこれ
これのどこがいい子なの?