1 LINEのオープンチャット

LINEのオープンチャット

僕のじいさんは90歳を超えているが、まだまだ元気である。従軍こそしていなかったが、もろに戦中派であり武勇伝もいっぱい持っている。
防空壕の中で同い年の女の子のもんぺのケツに興奮してしまい、爆撃が続く中、ずっと勃起していた、なんて話もしてくれる。
「空襲終わってから家に帰ってムチャクチャマスこいたわ」なんて昨日のことのように面白おかしく聞かせてくれる。
で、戦時中はドタバタしていて性交どころではなかった。初体験は戦後にお見合いで結婚した奧さん相手まで待たなければなかったそうだ。
「戦争のない青春時代がうらやましいもんだ。お前なんてさぞやり放題だろう?」
じいさんはそう言って僕をからかってくるが、まさしくその通りの現代日本である。LINEのオープンチャットで援交女子はいくらでも拾える。もちろん、戦時中もいわゆる赤線やパンパンは存在したが、とてもじゃないが当時の少年には手を出せる存在ではなかったそうだ。
僕がじいさんにLINEのオープンチャットのことを話すと「ほお、今はすげえな。俺でもやれるかな」などと言うので、スマホをプレゼントしてあげた。使えるかどうかはともかく、90オーバーでスマホ使いのじいさんがいるなんて、話のネタには最高だろう。
男性恐怖症
それからしばらくして、じいさんの様子を伺いに行くと、見事にLINEを使いこなしていた。
「92歳の僕と喋りませんか。資産は結構あるよ・・・てオープンチャット開いたら、女の子がわんさか入ってきて毎日が楽しいよ」
・・・使いこなすにもほどがある。音声入力があるので年寄りには却ってスマホの方が使いやすいらしいのだ。
「こうやってお茶に誘ってパンパンしてるんだな、今の若い連中は。俺もあと30歳ほど若かったらなあ」
「何考えてんだ、エロジジイ」
そう言って、じいさんの頭をはたいたのは、これまた90を超えている僕のばあさんだった。この旦那にしてこの嫁ありだ。
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