『知覧にて』のご掲載ありがとうございました。

また修学旅行での話です。
その日はある旅館に泊まりました。

僕が一番で部屋に着いたので部屋を整理するかと思い、ドアを開けると女性の方がいらっしゃるようで間違えた、と思いすいません、と言って閉めました。

しかし明らかに僕は間違っていませんし、他の友達も来たので、その時既に嫌な予感はしていましたが開けました。
その時にはもう姿はありませんでした。

その後、食事をしたり温泉に入ったりして、いよいよ就寝時間になりました。
僕は不眠症なので大抵起きていました。しかし、突然眠たくなり眠ってしまいました。

そして目が覚めた時、僕は横を向いて寝るクセがあるので最初に壁が見えました。
そしてふと天井を見ると、白い着物を着た女性が身体が浮いた状態で凄い形相で睨んできました。

目をそらす事が出来なくてしばらく目があっていましたが、彼女が消えていきました。
もちろんもう寝れるはずがありません。ずっと起きていました。

その時にバスガイドの方がおっしゃっていたのを思い出しました。

『ここは江戸時代に犯罪者、特に無罪の犯罪者が連れてこられて拷問され、殺されたり、温泉石(温泉水で熱くなっている石)に身体を押し付けられ大火傷を負わされたりしていました。今でもこの人たちは死にきれずにこの旅館に出る事があるそうです。皆さん注意して下さいね』
友達の体験談。聞いたのは最近だけど、去年の五月くらいの話らしい。
いろんなサイト見てるけど聞いたことない話だったから書き込んでみる。

始めたての一人暮らしやサークルで浮かれていて、ついつい遅くまで遊んでしまった日。
ギリギリ終電に乗り自宅近くの駅に到着したんだけど、家までの道は街頭がぽつぽつあるだけで人通りもない。

なんとなく怖くなった友達はiPodを取り出して音楽を聞き始めた。
好きな音楽を大音量でかけておけば怖いなんて思わないだろう、って。そいつの好きな音楽ってレゲエとかだったから、楽しげな感じだしね。

しばらく歩いて、もう少しで家に着くってトコで、何気なく後ろを振り返った。
いくら大音量で聞いていたとはいえ、なんで気付かなかったのか。

鼻先がぶつかるほどの距離に女の顔があった。
眼は血走り、口の端だけを吊り上げた作り笑いのような表情。

驚いたけど悲鳴を上げる間もなく、脇腹に痛みが走った。
刺されたっていうのはわかったけど、、カッと目を見開いた女の顔が目の前にあって、何で刺されたかまでは確認できなかったらしい。

女は友達を仰向けに倒して上に乗り、顔を突き合わせたままで、何度も何度も全身をメッタ刺しにした。

ずっと何かを叫んでいるみたいだったけれど、友達の耳には陽気な音楽しか聞こえてこない。
そのうち痛みや出血で意識が朦朧としてきて、そのまま気を失った。
んで、友達が次に目を開けたのは病院。
道の真ん中でぶっ倒れていたのを近所の人が見つけて110番だか119番だかしたらしい。

しかし、病院に担ぎ込まれたものの、状態は健康そのものだった。
刺し傷どころか、こけるだけでもできるような擦り傷や打撲もない。

おおかた慣れない酒に酔ってゴロンと道に寝ちまったんじゃないか、って言われたんだって。未成年なんだから気をつけろって説教と一緒に。
俺も医者と同じ考えだった。怖い怖い思ってたせいで悪夢でも見たんだろ、って茶化したんだ。

でも、友達はマジメな顔で震えながら首を振って、「これでもか?」ってシャツをめくって見せた。
そしたら、脇腹に傷痕があった。小学校からの仲だけど、そんな傷見たことないし、怪我したなんて話も聞いたことない。

その傷ってのは、四つ並んだ点と少し離れた一つの点でさ。
まるで、素手で突き刺したみたいな傷だったんだ。

この話聞いて以来、帰り道に音楽聴くのやめた。