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一週間後、再び杜王町カフェ『ドゥ・マゴ』
編集者「いいえ岸辺先生ッ、これでは読者への掴みが弱い! 最初の2ページで漫画を書く前の準備運動その2をやるべきですッ!」
露伴「あれは一発ギャグみたいなモンだぞ!? それをまたやるって君、読者がどう思うと思ってるんだ、いくらたまの読み切りだからって僕がいつもやってる準備運動なんか読んで何が面白いんだ! 僕だったらその2ページでジャンプをブン投げるねッ!」
編集者「読者の意表を突きます」
露伴「だから気に入った」
露伴(……なんだなんだ、一週間前とは比べ物にならないくらい積極的じゃないか。この岸部露伴に対してこれだけ忌憚のない意見を言うのは少々腹が立つが、悪い気分じゃない……)
露伴(だがおかしい。人間そんな簡単に大きく変わるはずがないッ)
露伴(考えられるとすればスタンド攻撃か、さもなくば−−)
露伴「ヘヴンズドアーッッッッ!!」
編集者「いいえ岸辺先生ッ、これでは読者への掴みが弱い! 最初の2ページで漫画を書く前の準備運動その2をやるべきですッ!」
露伴「あれは一発ギャグみたいなモンだぞ!? それをまたやるって君、読者がどう思うと思ってるんだ、いくらたまの読み切りだからって僕がいつもやってる準備運動なんか読んで何が面白いんだ! 僕だったらその2ページでジャンプをブン投げるねッ!」
編集者「読者の意表を突きます」
露伴「だから気に入った」
露伴(……なんだなんだ、一週間前とは比べ物にならないくらい積極的じゃないか。この岸部露伴に対してこれだけ忌憚のない意見を言うのは少々腹が立つが、悪い気分じゃない……)
露伴(だがおかしい。人間そんな簡単に大きく変わるはずがないッ)
露伴(考えられるとすればスタンド攻撃か、さもなくば−−)
露伴「ヘヴンズドアーッッッッ!!」
露伴「……やっぱりだッ! こいつ……『喪黒福造』と契約しているッ!」
露伴「契約内容は……『自分の意見を隠さず言える様になりたい』か。……くそッ! ふざけやがって!」
露伴「ヘヴンズドアー! 『今起こった事は全て忘れる』ッ!!」
編集者「? どうかしましたか、岸辺先生。それじゃ次にこのページですが……」
露伴「この僕を舐めやがって、このド低能がーーーーーッッッ!!」
編集者「!? な、なんですかっいきなり−−」
露伴「それは僕の台詞だ! お前、喪黒福造と出会ったな! 契約した人間がどうなるか知っていて!」
編集者「な……」
露伴「僕ぁ確かに一週間前言った! 『君も編集者だって言うなら、この岸辺露伴に意見を出さなくちゃあならないだろ。作家の仕事に頷くのが君の仕事じゃあない』ってな!」
編集者「そ、そうですよ! 岸辺先生にそう言われた後、喪黒さんに出会ったから千載一遇のチャンスだと思いましたから、自分の意見を自分で言える様にしてもらって……」
露伴「契約内容は……『自分の意見を隠さず言える様になりたい』か。……くそッ! ふざけやがって!」
露伴「ヘヴンズドアー! 『今起こった事は全て忘れる』ッ!!」
編集者「? どうかしましたか、岸辺先生。それじゃ次にこのページですが……」
露伴「この僕を舐めやがって、このド低能がーーーーーッッッ!!」
編集者「!? な、なんですかっいきなり−−」
露伴「それは僕の台詞だ! お前、喪黒福造と出会ったな! 契約した人間がどうなるか知っていて!」
編集者「な……」
露伴「僕ぁ確かに一週間前言った! 『君も編集者だって言うなら、この岸辺露伴に意見を出さなくちゃあならないだろ。作家の仕事に頷くのが君の仕事じゃあない』ってな!」
編集者「そ、そうですよ! 岸辺先生にそう言われた後、喪黒さんに出会ったから千載一遇のチャンスだと思いましたから、自分の意見を自分で言える様にしてもらって……」
露伴「僕は君の意見が聞きたいと言った! 他人の力を借りなきゃ作家に意見も言えない意志薄弱な編集者の意見なんか聞きたかぁないねッ!」
編集者「そ、そんな勝手な事を言わないで下さいっ! だったら僕はどうすればいいんです!? もう喪黒さんと契約してしまったんですよ!?」
露伴「そんなのは君の勝手だろう、と言うのは簡単だ。だが君は『セールスマン』から『商品を受け取った』んだろう。少なくとも、一週間以内にだ」
露伴「そしてここは日本だ。今すぐ喪黒福造に連絡を取ってクーリングオフしてもらえッ!!」
編集者「えーーーーっっ!!? 笑ゥせぇるすまん相手にクーリングオフ!? そ、そんな無茶苦茶な事出来る筈が……」
露伴「うるさいッ! 出来るか出来ないとかそんなどうでもいい事を聞きたい訳じゃないッ! 君には言ってなかったが、喪黒福造にも会ってきた! 契約はしなかったさ、取材はこなしてきたがね!」
露伴「別に次の作品にすぐフィードバック出来る訳じゃないから取材費だって自腹さ! なんでそんな事をするか判るかッ! 僕は読んで貰う為に漫画を描いているッ!
その為にはリアリティが必要だ……自分を破滅させる存在と相対しながら酒を飲み、彼に破滅させられた人間達の話を聞きだす時の気持ちがどんなものなのかを理解する必要があるッ!」
編集者「そ、そんな勝手な事を言わないで下さいっ! だったら僕はどうすればいいんです!? もう喪黒さんと契約してしまったんですよ!?」
露伴「そんなのは君の勝手だろう、と言うのは簡単だ。だが君は『セールスマン』から『商品を受け取った』んだろう。少なくとも、一週間以内にだ」
露伴「そしてここは日本だ。今すぐ喪黒福造に連絡を取ってクーリングオフしてもらえッ!!」
編集者「えーーーーっっ!!? 笑ゥせぇるすまん相手にクーリングオフ!? そ、そんな無茶苦茶な事出来る筈が……」
露伴「うるさいッ! 出来るか出来ないとかそんなどうでもいい事を聞きたい訳じゃないッ! 君には言ってなかったが、喪黒福造にも会ってきた! 契約はしなかったさ、取材はこなしてきたがね!」
露伴「別に次の作品にすぐフィードバック出来る訳じゃないから取材費だって自腹さ! なんでそんな事をするか判るかッ! 僕は読んで貰う為に漫画を描いているッ!
その為にはリアリティが必要だ……自分を破滅させる存在と相対しながら酒を飲み、彼に破滅させられた人間達の話を聞きだす時の気持ちがどんなものなのかを理解する必要があるッ!」
露伴「そんな僕の編集者だと言うなら、ちょっとくらいの無茶苦茶ならやってみせろッ! あの笑ゥせぇるすまんからクーリングオフをもぎ取ってみせろ! 人を破滅させて歩いているヤツから生き延びてみせるくらいの事はしてみせろ! ……少なくともこの僕はやってのけたぞ」
編集者「う、うう……滅茶苦茶だ! 変人だって聞いていたけど、こんな有り得ない性格の人だったなんて……」
露伴「契約で自分の意見を言わざるを得ないからな。本人の目の前で、まるで僕が人格破綻者みたいな物言いをされるのが不愉快じゃないはずがないが……まあいいさ。ヤツから名刺を貰ってるんだろう」
露伴「今すぐヤツをここへ呼び付けて契約を解約させるんだ。それをしない限り、僕ぁ次の原稿を書かない。編集長から何か言われたら言ってやるさ、今の編集者が気に入らないから描く気が起こらなくて困っているってな!」
露伴「編集長から大目玉を食らうか喪黒福造と対決するか! 君が選べッ!!」
編集者「う、うう……なんて日だ、どうしてこんな事に……」
編集者「……もしもし、喪黒さんですか? 実は先日の契約を解約したいんですが……クーリングオフって出来ますか? ええ、はい……」
露伴「世の中にそんなうまい話なんてありゃしないさ。ま……ヤツをここに来させる段取りが出来たなら、ヤツが来るまで打ち合わせをしようじゃあないか。それまでどうせヒマだしな」
露伴「いずれ君が君自身の意思でこの岸辺露伴に意見出来る様になった時に、描かれるはずの読み切りの打ち合わせだ」
露伴「借り物の力でしか僕に意見を出来ない弱腰は腹が立つが、そのズケズケ物を言う姿勢を持った君と組んだ作品がどれだけの出来になるのかは、正直興味がある……」
露伴「全く漫画家ってのは、因果な商売だなあ!」
岸部露伴−−取材終了
編集者「う、うう……滅茶苦茶だ! 変人だって聞いていたけど、こんな有り得ない性格の人だったなんて……」
露伴「契約で自分の意見を言わざるを得ないからな。本人の目の前で、まるで僕が人格破綻者みたいな物言いをされるのが不愉快じゃないはずがないが……まあいいさ。ヤツから名刺を貰ってるんだろう」
露伴「今すぐヤツをここへ呼び付けて契約を解約させるんだ。それをしない限り、僕ぁ次の原稿を書かない。編集長から何か言われたら言ってやるさ、今の編集者が気に入らないから描く気が起こらなくて困っているってな!」
露伴「編集長から大目玉を食らうか喪黒福造と対決するか! 君が選べッ!!」
編集者「う、うう……なんて日だ、どうしてこんな事に……」
編集者「……もしもし、喪黒さんですか? 実は先日の契約を解約したいんですが……クーリングオフって出来ますか? ええ、はい……」
露伴「世の中にそんなうまい話なんてありゃしないさ。ま……ヤツをここに来させる段取りが出来たなら、ヤツが来るまで打ち合わせをしようじゃあないか。それまでどうせヒマだしな」
露伴「いずれ君が君自身の意思でこの岸辺露伴に意見出来る様になった時に、描かれるはずの読み切りの打ち合わせだ」
露伴「借り物の力でしか僕に意見を出来ない弱腰は腹が立つが、そのズケズケ物を言う姿勢を持った君と組んだ作品がどれだけの出来になるのかは、正直興味がある……」
露伴「全く漫画家ってのは、因果な商売だなあ!」
岸部露伴−−取材終了